Google と Apple、契約業者による音声データへのアクセスを一時停止に

Apple と Google は、自社の音声アシスタントである Siri と Google Assistant によって録音された音声への契約業者によるアクセスを制限すると発表しました

まずは Apple から解説します。

Apple のプライバシーの問題が騒がれ始めたのは、性的な接触、商談、患者と医師の会話など、Apple ユーザーが聴かれたくないさまざまな音声データを契約業者が「定期的に聞いている」ことを、ガーディアン紙が報道した 1 週間前のことです。

Apple は、音声データは匿名化されており、Siri の精度向上を目的としてのみアクセスしていると反論しましたが、ガーディアン紙に告発した契約業者は、次のような場合もあるとして主張を譲りませんでした。

(引用文日本語訳)これらの録音には、位置情報、連絡先、アプリデータが付随しています。

現在 Apple は、レビュー時にこの方法で音声データにアクセスするグローバルプログラムを一時的に停止したと述べています。

この一時停止がどれだけの期間継続するのか、また、Apple が音声データをサーバーに保存する期間(現在は 6 か月から 2 年)を変更するかどうかは明らかになっていません。

偶然なのか、Google も同様の修正を行っています。ベルギーの放送局 VRT が、Google Assistant の録音音声を聴いている契約業者に関するニュースを先月公開した後、ドイツのプライバシー規制当局が調査を開始しました。Google は次のように述べています。

(引用文日本語訳)レビュープロセスでは音声クリップをユーザーアカウントに関連付けておらず、レビューの対象となっているのは全音声クリップの約 0.2% のみです。

とはいえ、Google は現在、EU 圏内で録音へのアクセスを 3 か月間停止しているとしています。

この問題の発端となったのは Amazon です。音声アシスタント Alexa によって保存された録音に契約業者がアクセスしていることを Bloomberg が 4 月に報じたのがきっかけでした。

浮かび上がるパターン

今回の件にはさまざまな問題が混在しています。最初の問題は、音声データの保存方法とアクセス方法に関してこれらの企業が行っている説明です。

企業側は、自社サーバーに保存されている記録のほんの一部にしかアクセスしていないと言っていますが、その量は膨大である可能性があります。また、彼らが主張するようにデータが完全に匿名化されているかどうかは不明です。

根本的な問題は、音声アシスタントの精度を向上させるために、ユーザーからのリクエストを理解する機能を手動で調整しなければならないことにあります。

この作業には、契約業者を含む社内スタッフがスマートスピーカー、スマートフォン、Apple Watch などのデバイスから取得した実際の音声でのやり取りにアクセスする必要があります。

このタイプのデバイスの開発には必要な作業であると同時に、今回のような問題が露見するのは時間の問題だったと言えます。

企業がプライバシーに気を配ることを前提に大量の個人データを取得している現状について、一般ユーザーはますます懐疑的になっていますが、Apple、Google、Amazon からの回答はおそらく、これまでしてきた説明の焼き直しになりそうです。