ランサムウェア攻撃の容疑者をウクライナで一斉検挙

ウクライナ警察による家宅捜索の様子を映した、5 分ほどの見ごたえのある動画を紹介します。

ウクライナ語がわからなくとも「開けろ、警察だ!」と叫んでいることは理解できるでしょう。

緊張の一瞬があり、その間カメラは通常よりも少し頑丈そうな玄関ドアの前に留まっています。「容疑者が身を潜め、ドアを開けるのを拒んだとしたらどうなるのだろう」と視聴者をハラハラさせます。

その疑問は屈強な警官がガソリン式の切削工具 (ゲームがお好きな方には BFG (Big Fearsome Grinder の略称) という呼称が馴染み深いかもしれません) を持って出現し、スターターロープを力強く引っ張ることによって解消されます。)

程なくしてゆっくりと、恐る恐るといった様子でドアが外向きに開き、捜索が始まります。

(動画内で映し出されている別の物件に対する捜索では、容疑者がドアを開かなかったため、実際に BFG が頑丈なドアを切断するのに活用されている様子を確認することができます。)

ウクライナ警察によると、現地の警察官はキエフ市およびキエフ州で 計 21 回の捜索を行ったそうです。

動画には、警察官によって押収された現金の山が数えられ、袋詰めされ、記録される様子や、ラップトップやデスクトップ PC (多くは最新バージョンの macOS が搭載されており、ランサムウェアの攻撃者がどのような端末を好むのかを窺い知ることができます) 、数十台の携帯電話および数台の派手な車が映っています。

他にも、Tesla の高級車や AMG 63 などの車がレッカー車に載せられて撤去されていく様子が映っています。

ランサムウェアは暗号通貨による身代金の支払いを求めるため、多額の現金が押収されたことは想定外でした。警察の発表によると押収された現金の総額は 5,000,000 UAH (約 20 万米ドル) にのぼるとのことです。

この事件の被害者として韓国企業 4 社がウクライナ警察にリストアップされていたためか、韓国警察の警察官がオブザーバーのような立場で捜査に参加している様子が確認できます。

ウクライナ側の報告書では「2021 年に被告はスタンフォード大学医学部、メリーランド大学およびカリフォルニア大学の授業員や財務報告書などの個人データを攻撃し、暗号化した」とされており、米国の警察機関も捜査に関与しています。

言い換えると、国境を越え、海外の組織に対して行われたサイバー犯罪の容疑者が国際的な協力により現地で逮捕、起訴される可能性があるということです。

実際の動画が気になる方はこちらをご覧ください。